2022.11.22
Monthly Feature
「修景」で新たなまちの魅力づくり
「修景」とは、文字通り風景を修復すること。綿密な計画の基に設計されたテーマパークなどではない限り、まちには様々なデザイン様式の建造物が混在しているのが一般的。古いものもあれば新しいものもあり、ポツンと空き地があったりすることも、決して珍しくありません。住宅街ならまだしも、観光地でそんな風景に出会ってしまうと、ちょっと興ざめです。今回の特集は、観光地の風景を魅力あるものに生まれ変わらせる、エイエイピーの「修景」を取り上げます。
Contents
「相場」という言葉をご存知ですか?
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全国の多くの自治体が、まちづくりに関するルールを設けています。京都、長野県の妻籠、島根県の津和野、山口県の萩・・・これらのまちは、厳格なルールの下に、古き良きまちの雰囲気が美しく保全され、観光地としても、とても人気の高いエリアですね。岐阜県の飛騨もまた、ノスタルジックなまちなみの美しさで知られており、国内外から多くの観光客が訪れます。飛騨といえば、「飛騨高山」がよく知られていますが、「飛騨古川」という地域があるのをご存知でしょうか?「飛騨高山」は高山市。「飛騨古川」は、高山市の北側に隣接する飛騨市に属しています。いずれも、戦国時代に金森氏によって碁盤の目のような、美しいまち割りが整備されたそうです。前置きが長くなりましたが、この飛騨古川には「相場」という言葉があるそうです。金融系の「相場」ではなく、この場合は「調和」を意味していています。古川の人々は昔から「相場崩し(周囲と不調和のもの)」を嫌っており、そのようなマインドが、今も独特の意匠を凝らした、古き良きまちなみの保全につながっている、というわけです。「相場」・・・いい言葉ですね。
住民生活と観光の両立
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もう少し、古川のまちについて書いていきます。国交省のホームページにあった資料によると、この古川のまちなみの保全活動は、高層ホテルの建築計画が持ち上がったことがきっかけに、活発になったといいます。順を追ってみていくと、以下のようなことになるようです。町なみ自体は、高度な大工技と住民の皆さんの意識によって長く保全されてきた。そうした努力によって美しく保たれたまちなみは、観光地としても注目されるようになり、高層のホテルを建設する計画が持ち上がる。1970年代の初め頃に、そのような「相場崩し」の計画に危機感を感じた住民の皆さんが立ち上がり、紆余曲折を経て景観に関する条例を制定。まちが一体となって保全に取り組むことによって、観光地としても魅力度がアップ。現在でも、住民生活と観光地の両立を目指して、様々な取り組みが続けられている、というわけです。この、観光か住民生活か、といった二者択一ではなく両立を目指す、という視点が素晴らしいと思います。
地域の慣習を活かすことが大切
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このような事例は、飛騨古川に限らず、全国のあちこちで好例があるようです。前述の国交省の資料には、石川県加賀市、滋賀県近江八幡市などの事例が紹介されており、いずれもまちを魅力的に保つという取り組みを成功に導くためのヒントがたくさん盛り込まれているように感じます。これらの取り組みに共通していえることは、ひとつは、地域に根差している慣習をうまく計画に盛り込んでいるということ。もう一つは、厳密な回顧主義に偏らず、未来志向で、住民にとって暮らしやすいまちづくりも同時に目指しているということです。ガチガチのローカルルールは、短期的には効果を上げることはできても、長い目でみれば、住民の離反や排他主義によるイメージダウンにつながる可能性を秘めているということも、忘れてはいけないポイントであると思います。
修景を下支えする景観に関する法律
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こうした各地のまちなみを、美しく保全する取り組みを下支えしているのが、2004年に公布された、いわゆる「景観三法」です。昭和の高度な経済成長を受けて、全国のまちなみが高層化・近代化。景観よりも経済を優先するあまり、まちの固有の魅力が失われていってしまい、結果としてまちそのものの魅力が下がってしまった、ということが、この法律制定の背景にあります。ヨーロッパ諸国のまち風景と比べると、やはり日本の地方都市のそれは、なんとなく無秩序で、似たような雰囲気のまちばかりという感じが否めません。「その無秩序さがアジアチックでクール!」という見方をする向きもありますが、どうも素直には受け止められない感じもします。まだ法制定から20年あまりなので、これからどんどん日本のまちなみが美しく変わっていくことに期待したいと思います。
AAPが「修景」をトータルプロデュース
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このように、修景には、単に古くなってしまったものをきれいに化粧直しをするだけでなく、その土地の歴史やそこに暮らす人々のマインドを理解したうえで、取り組む必要があります。エイエイピーは、現状調査や地元の皆さんへのヒアリングを経て課題を共有したうえで、コンセプトやビジュアルの提案をさせていただくだけでなく、実行スキームのご提案やプロジェクトの運営サポート、着地型観光商品のプラン、PR計画など、幅広くまちの魅力づくりをプロデュースいたします。
「改善はしたいが、どこから手をつけたらよいかわからない」、「どのような会社に依頼をすればいいのかわからない」、修景やリノベーションについて、このようなお声を頂戴するケースが多々あります。私どもエイエイピーでは、観光業のお手伝いをする選任組織「観光戦略推進部」が窓口となって、修景・リノベーション・サイン計画など、まちや宿泊施設の魅力づくりをトータルにご提案いたします。様々な補助金の活用に精通したスタッフも常駐しておりますので、お気軽にお問合せください。
エイエイピーの修景・リノベーション事業ブランド「リノーヴァ」
https://www.aap.co.jp/renova/