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2024.12.04

Monthly Feature

ホテルや旅館の業務改善にDXが欠かせない理由とは?

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コロナ禍が沈静化し、一時的に低迷していた需要が一気に回復に向いたこともあり、各方面で人材の供給が追い付かない状況が続いています。とりわけ、旅館・ホテル業での人手不足は深刻で、帝国データバンクが2023年4月に行った調査によると、正規・非正規共に70%以上が、人手不足を感じていると回答を寄せています。お客様の受け入れ体制整備が不充分な状態では、サービスの低下は免れず、ひいては顧客を失うという致命的なダメージを負いかねません。また、人手不足だからといって、過剰な労働を強いることも、現代社会の中では容認されることではなく、働くスタッフの労働環境の改善にも、しっかりと向き合っていく必要があります。

ホテルや旅館の人手不足解消の選択肢として、業務のDX化が挙げられます。そこで今回は、ホテルや旅館の業務改善にDXが求められる理由について、DXで得られるメリットや改善事例とともにご紹介します。

Contents

ホテル・旅館業界で業務改善が必要とされる理由

ホテル・旅館業界で業務改善を必要とする理由は多々ありますが、主な理由は以下の通りです。
・人手不足への対応
・インバウンド需要
・データの有効利用

それぞれの理由について詳しく解説します。

人手不足への対応


前述の通り、労働人口の減少で、業種に関わらず働き手が不足しています。一番に解決すべき課題とも言えます。加えて近年では、コロナ禍により減少した働き手が戻っていないことでより人手不足が深刻化しています。ホテル・旅館業界で、十分なサービスを提供できないことや従業員の負担増加などは、さまざまな問題にもつながります。慢性的な人手不足に対応するための一つの解決策が、業務改善を目的とするDXです。

インバウンド需要


コロナ禍はインバウンド需要が減少していたものの、日本政府観光局の調査によると外国人観光客の年間累計人数が2024年10月時点で約3019万人。2019年の年間約3188万人に迫る勢いで、回復傾向にあります。その一方で、回復したインバウンド需要に対応できていない企業も多く、そのための業務改善が求められます。外国人観光客を多く受け入れるホテルや旅館にするためには、多国籍の顧客に対応できる環境の構築が必要です。

データの有効利用


売上の向上や集客を増やすためには、データの有効活用が必要不可欠です。客室の稼働率や客層など、マーケティングに活用可能なデータは十分にあるものの、それらのデータを営業活動に生かせているホテルや旅館ばかりではありません。経験や勘に頼るだけではなく、データに基づいた経営にはシステム導入などによるDXが有効です。DXを活用した業務改善は適切に行うことで、さらなる売上アップや顧客満足度の向上が期待できるでしょう。

ホテル・旅館業界がDXで得られるメリット

ホテル・旅館業界でDX化を進めることには、以下のメリットがあります。
・業務を効率化できる
・顧客満足度の向上
・離職率の低下
・多様化するニーズに対応できる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

業務の効率化


人力で行っていた業務をデジタル化することで、業務の効率化ができます。例えば、お掃除ロボットの導入で手作業の掃除を減らすことや、近隣の観光施設や道案内を人のガイドからスマートフォンアプリに切り替えることで顧客対応を減らせます。これまで人が行っていた業務を減らすことで、その分の人を他の業務に振り分けることや、シフトの人数を減らすことが可能です。その結果、従業員の負担軽減や人手不足の解消につながります。

顧客の満足度向上


DX化でデータを有効活用することで、これまで以上にきめ細やかな対応が可能です。顧客の行動データをもとに個別化されたサービスの提供や、ニーズに合った新たなサービスの開発にも活かせます。他にも、宿泊台帳をデジタル化してモバイルチェックインなどを活用することで、顧客はフロントでの待ち時間を減らせます。これまでのアナログ作業をデジタル化することで、業務の効率化と同時に顧客満足度の向上が可能です。

離職率の低下


業務の効率化やIT技術の導入で従業員の負担を減らすことは、離職率の低下につながります。人手不足は従業員の負担を増加させ、それに伴い不満が増すと離職率は上がります。DX化で労働環境を改善し、従業員にとって働きやすい環境を整えることが大切です。人手不足を深刻化させないためにも、離職を避けるための取り組みはDXの大きなメリットといえるでしょう。

多様化するニーズへの対応


デジタルツールは、多様化する顧客ニーズへの対応に活用できます。例えば、翻訳アプリを活用した施設紹介や、多言語表示が可能なタブレット・スマホを客室に設置することで、インバウンド需要に対応できます。ほかにも、AR技術を用いて「看板にスマホのカメラをかざすとAR動画でバーチャル案内サービスをしてくれる」といった最新技術で、新鮮な宿泊体験を提供できます。競争力を維持するためにはデジタル化の流れに遅れないことが重要です。そのためにも、DX化は前向きに検討しましょう。

ホテル・旅館が業務改善する流れ

前述の通り、さまざまな観点からホテル・旅館における業務改善は効果的です。そこでここからは、業務改善を行う際の基本的な流れについてご紹介します。事前に全体の流れを把握することで、スムーズに取り組みましょう。

効率化するポイントの特定


業務内容やサービス内容を見直し、効率化を妨げている箇所の特定をしましょう。特定が終わったら、業務ごとに優先順位を付けます。手当たり次第に取り掛かるのではなく、優先度の高い業務から順に取り組むことが大切です。また、既存の業務だけではなく、客室稼働率や価格戦略の最適化など、DXによるデータ活用についても検討しましょう。

作業工程の見直し


作業の工程を洗い出し、不要な工数をかけていないか、そもそもその作業が必要かなどの見直しをしましょう。また工程ごとの対応人数・対応時間なども確認しましょう。工程の中でデジタル化できそうな課題を洗い出します。例えば、手作業で煩雑な作業や、同じ動作を繰り返す作業がある場合はデジタル化を検討します。多くの時間を費やしてきた作業のDX化ができれば、大幅な業務の効率化が可能です。

改善施策の検討と実施


作業工程の見直しや課題の洗い出しができたら、導入する技術やシステムを検討しましょう。例えば、予約システムを導入すれば予約対応に使っていた時間を削減でき、顧客管理システムを導入することでデータの収集や分析の手間が省けます。現在の課題に対してどのようなシステムが必要かを考え、比較検討や費用対効果を検証の上、導入を行います。

効果の検証


業務改善を進めるためには、導入後の効果測定を行うことが大切です。「どのような」かつ「どの程度」効果があったかを定性的・定量的に判断しましょう。効果は即時性のあるものばかりではありません。長期的な視点で分析・改善を繰り返すことで、より有効な活用につながり、業務改善が進められます。もし期待した効果が得られない場合は、導入するシステムや技術の変更も検討しましょう。

ホテル・旅館の業務改善事例3選

ホテル・旅館では人手不足やインバウンド需要への対応など、さまざまな理由から業務改善が求められます。課題を認識し、DX化で業務改善を成功した事例について3つご紹介します。

潮彩きらら赤穂温泉祥吉


兵庫県赤穂市の海辺にある「潮彩きらら赤穂温泉祥吉」では、業務改善の一環として配膳シーンのDX「配膳管理システム」を導入しました。DX以前は配膳の進捗状況や顧客のアレルギー情報など、食事の提供に変更がある際に内線電話や口頭で伝えていました。関係スタッフへの共有や伝達に多くの時間と労力を要することが課題であり、その解決策として配膳管理システムを導入します。導入後、情報共有の時間と手間を大幅に削減でき、さらに人的ミスの削減にも成功しました。現在は顧客ごとに異なる多岐にわたるメニューを少ない労力で提供可能になりました。

堂ヶ島温泉 海辺のかくれ湯 清流


日本一の夕陽として名高い西伊豆町に位置する「堂ヶ島温泉 海辺のかくれ湯 清流」では、ゲストとの情報受発信のDX「ポケやど」を導入して業務改善に成功しました。DX導入以前、館内案内は紙媒体を使った販促でした。紙媒体は情報を差し替えるたびにツールを制作・印刷し、全客室にセッティングし直すため、多くの手間がかかります。コロナ禍では多くの宿泊者が触れる館内案内の消毒作業も必要で、課題がさらに深刻化しました。その解決策が、紙媒体の案内をスマートフォンで館内案内ができる「ポケやど」への切り替えです。また、「ポケやど」導入により大浴場の混雑情報を提供できるようになり、お客様の「密」回避も実現することができました。その結果、従業員の作業を大幅に減らし、生産性と顧客満足度の向上に成功しました。

全国で62施設を展開するホテルチェーン


全国で62施設を展開するホテルチェーンでは、在庫管理のDX「Smart Mat Cloud(スマートマットクラウド)」を導入して業務改善をしました。ホテル・旅館業界では、アメニティをはじめとしたさまざまな種類の在庫を管理しています。在庫管理と発注業務をシステムに移管し、定期的な棚卸の簡略化やリネン類の遠隔自動監視と発注の自動化を実現しました。導入前は週に3.5時間かかっていた作業時間を1時間程度の削減に成功しています。

ホテル・旅館の業務改善におすすめのシステム8選

今回は、生産性を高め、スタッフのモチベーション向上も期待できる、エイエイピー・プロフィックスがオススメする、旅館・ホテル向けの8つのDXツールをご紹介します。

配膳シーンのDX「配膳管理システム」

「配膳管理システム」は、フロント・厨房・お客様係をリアルタイムに連携するシステム。従来は、紙やホワイトボードを使うことが多かった現場運営を、デジタルデバイスに置き換えることで、言い間違い・聞き違い・配膳間違いを解消できるだけでなく、食事データを解析することで、食材ロスの改善にも期待ができるシステムです。

レストラン配席のDX「レストラン予約システム」

マグネットにお客様の名前を書いて、ホワイトボードに貼るスタイルで、レストラン配席をされていませんか?これでは準備に時間がかかるし、混雑してくると、お食事中なのか退席されているのかがわからなくなってしまうことがよくありますよね。「レストラン予約システム」を導入すれば、それらを一気に解消することが可能です。特に、回転の早いブッフェ会場の管理には最適のシステムです。PC・タブレット・スマホのいずれにも対応しており、各テーブルのステイタスをタイムリーに把握し迅速なアテンドが可能になります。

ブッフェ会場のDX「モニタリングシステム」

ブッフェは、旅館・ホテルに滞在中のお客様にとって、とても楽しみにされている要素のひとつです。それだけに、食べようと思っていたメニューの器が空になっていたりすると、がっかり感も大きく、宿全体の印象も下がってしまうことにつながりかねません。「モニタリングシステム」は、有線カメラで料理の残量を確認。厨房の大型モニターで補充のタイミングを把握することができるので、ランナーの員数を減らすことができ、人的なコスト削減につながるだけでなく、作り過ぎによる食材ロス削減にも効果を発揮してくれます。

在庫管理のDX「Smart Mat Cloud(スマートマットクラウド)」

食材、タオル、浴衣、トイレットペーパー、各種アメニティ、売店商品・・・などなど、旅館・ホテルは膨大な量の在庫を抱えています。保管場所も分散されているケースが多いので、在庫状況を目視で把握して、常に最適なボリュームを保っていくことは、相当の労力がかかっているはずです。「Smart Mat Cloud(スマート マット クラウド)」は、重量を検知して残量を自動で記録。自動発注までをシステム上で行うことができるので、在庫管理を無人化することが可能です。在庫品を、スマートマットの上に載せるだけで設置は完了。業務を飛躍的に効率化することが可能です。

スタッフ間の報・連・相をDX「フィールドボイスインカム(旧SmaTalk Biz))」

「フィールドボイスインカム(旧SmaTalk Biz)スマトークビズ)」は、次世代型のIP無線機。通常使用されているトランシーバーのような無線機とは異なり、通話だけでなく、会話をテキスト化して保存・確認をすることができるので、コミュニケーションの精度が飛躍的に向上します。また、キーボードで入力した文字を、音声読み上げ機能を使って確認することができるので、声を出すことができないようなシーンでも、メッセージを発信することが可能です。会話ログは1年間クラウドに保存されるので、事後の確認も間違いがありません。

ゲストとの情報受発信のDX「Inforia(インフォリア)」

「Inforia(インフォリア)」は、タブレットを使用した、デジタル館内案内デバイスです。
各種のインフォメーションをタイムリーに発信できるだけでなく、貸出備品の申し込み、貸切風呂やマッサージなどの予約も、フロントを通さず、タブレットで完結させることが可能。お客様をお待たせすることもなく、フロント業務の効率化と、アップセルの促進にも貢献してくれる優れたシステムです。

ゲストとの情報受発信のDX「ポケやど」

「ポケやど」は、お客様のスマートフォンを使用する、館内インフォメーションシステム。お客様はフロント等に掲示されたQRコードを読み込むだけで、情報を受け取ることができるので、客室に専用タブレットなどを設置する必要はありません。発信する情報は簡単な操作で更新が可能。さらに、5か国語に対応しているので、インバウンドゲストの対応にも心配はありません。
【リゾLAB】「ポケやど」を導入していただいた伊豆 稲取銀水荘様の事例をご紹介しています。併せてご覧ください

レストランのDXにおすすめ「セルフオーダーシステム」

ホテルや旅館にあるレストランのDXには「セルフオーダーシステム」の導入がおすすめです。料理の注文に使うのはお客様がお持ちのスマートフォンです。「セルフオーダーシステム」により、お客様はQRコードを読み込むだけで注文が可能になるため、従業員がオーダーを受けにいく作業を無くせます。待ち時間の短縮や、聞き間違いによるヒューマンミスも防げるため、顧客満足度の向上にもつながります。
各システムについてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

ホテル・旅館では人手不足が深刻化しています。人手不足は従業員1人あたりの負担を増加させ、離職率を上げる悪循環にもつながります。また、インバウンド需要への対応や売上向上のために業務改善は欠かせません。
ホテル・旅館の業務改善の解決策として、DXが挙げられます。現在の業務の洗い出しを行い、システムに置き換えられる業務がないかを確認しましょう。DX実施後は、長期的に効果測定を行うことが業務改善のポイントです。

今回は、旅館・ホテル様向けの8つのDXツールをご紹介しました。DX化は、単に時間を短縮したり人的なコストを低減させるのではなく、こういったツールを導入することによって、生み出される経営資源を、お客様に対する「おもてなし」に適正分配することが本来の目的です。
エイエイピーは、デジタルを活用し、新たな価値の創造に取り組んでいます。
経営の効率化をお考えの方は、お気軽にご相談ください。


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