日本政府観光局によると、2024年の国外旅行者数は推計値で1,300万7,300人でした。この数値は、コロナ禍前の2,008万人はおろか20年前の数値にも達していないことが分かっています。また、パスポートの所有率も年々低下しており、海外旅行離れの傾向は確実に存在します。
出典:日本政府観光局「2024年12月 訪日外客数および出国日本人数」「訪日外客数(2024 年 12 月および年間推計値)」
2025.03.21
Monthly Feature
日本人が海外旅行に行かなくなったのはなぜ?プロモーションで対策を!

四季があり歴史的な建造物が多くある日本は、海外で人気の国です。毎年多くの外国人観光客が訪れています。しかし一方で、海外旅行に行く日本人は減少傾向となっています。今回は、日本人が海外旅行に行かなくなった理由を対策としての観光プロモーションの種類とともにご紹介します。
Contents
海外旅行に行く日本人は2000年代から増えていない
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日本人が海外旅行に行かない理由とは?
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日本人が海外旅行に行かなくなった理由として、物価高や円安が挙げられます。近年は、歴史的な円安の影響を受けて物価高が続いています。政府は補助金を出したり、給与の上昇を推奨したりしているものの、物価高によって生活が苦しい家庭は少なくありません。これにより、海外旅行に行く余裕がなく、行きたくても行けない状況にあります。また、若者層になるとそもそも海外に魅力を感じていない人が多いことも、海外旅行に行く日本人が減った理由です。魅力を感じないことは、プロモーションの不足を指摘する声も上がっています。
観光プロモーションを行うときのステップ
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興味を持ってもらうためには、魅力的な観光プロモーションの作成が必須です。そこでここでは、観光プロモーションを作成する際の基本的なステップをご紹介します。
目的とターゲットを明確にする
初めにすることは、目的とターゲットの明確化です。なぜ観光プロモーションをするのか、どのような層に向けて実施するのかを明確にしましょう。目的とターゲットを明確にすることで、効果のある観光プロモーションを計画できます。ターゲットを決める際は、年齢層や所在地はもちろん、1人旅かカップルか家族かなども決めます。なるべく細かくターゲットを設定しペルソナを明確にした方が、効果のある観光プロモーションを施策可能です。
ターゲットに合った強みをピックアップする
ターゲットが明確になったら、ターゲットに合わせてアピールできる強みを明確にします。ターゲットに合った観光資源をピックアップし、その観光地を訪れることで体験できる内容や企画を考えましょう。例えば、家族をターゲットとする場合は家族で楽しめる体験や企画が適します。また、小さい子どもがいる家族をターゲットとするのか、小学生や中学生以上など、どういった家族をターゲットにするのかによって、適する体験や企画は異なります。
目的やターゲットに合った媒体や手法
企画目的やターゲットに合わせて、プロモーションの方法や媒体を選びます。観光プロモーションの媒体や手法は複数あります。目的やターゲットに合う媒体や手法を選択しないと、効果は得られません。例えば、若者層をターゲットにする際はインフルエンサーマーケティングがおすすめです。インフルエンサーとは、SNSで影響力のある人のことであり、Instagramや TikTok、YouTubeで活躍する人に観光地をアピールしてもらう手法です。好きなインフルエンサーや人気のあるインフルエンサーがアピールしていると、その観光地に魅力を感じます。
観光プロモーションの媒体や手法については後述します。
観光プロモーションの主な手法や媒体
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観光プロモーションの主な手法と媒体は以下の通りです。
・動画制作
・イベント開催や出展
・広告出稿
・SNSの活用
・インフルエンサーの活用
それぞれについて、概要や特徴を解説します。
動画制作
紙面と比べて、動画ならではの観光地の魅力を伝えやすい点が特徴です。宿泊施設やグルメ、レジャー情報を動画で紹介することで、具体的な観光プランをイメージできて観光客の獲得が期待できます。また、ストーリー仕立てでメリットを伝えられたり、字幕対応で海外向けのプロモーションにもなったりする点も特徴です。ただし、PR動画は多くの自治体が制作しています。他の地域と差別化を図ったり、見てもらうきっかけを作ったりして、埋もれないようにしましょう。
ご当地ゆかりの偉人による観光プロモーション動画の事例
埼玉県では、ゆかりの偉人を使って観光プロモーションの動画を制作しました。埼玉県は、鎌倉幕府の成立に活躍した畠山重忠ゆかりの地です。そこで、関連する歴史スポットをめぐるガイドブックを制作し、ガイドブックと連携してPR動画を制作して、紙面だけでは伝わらない魅力を伝えています。ドローン撮影を活用した、短時間でダイナミックな動画が話題を集めて観光客の獲得に成功しました。
ご当地ゆかりの偉人による埼玉県観光プロモーション
イベント開催・出展
自分でイベントを開催したり、大きな共同イベントに参加したりなど、イベントの開催や出展もおすすめです。動画やSNSを作成しても、見てもらえなければ魅力を伝えられません。そこで、イベントを開催したり出展したりして、旅行に興味がある人に向けてリアルの場でアプローチすることで、認知度の向上が期待できます。まずはイベントに出展して、どのようなイベントが人気なのかを把握して、自身でイベントを開催するとよいでしょう。
海外旅行の需要喚起イベント開催の事例
大阪の中心部である梅田で、関西国際空港と連携して就航先の政府観光局や航空会社、旅行会社、旅行関連団体など、39団体のブース出展と、32の海外旅行セミナーを開催しました。このイベントでは、コロナ禍を経て新たな旅行の楽しみ方や現地の最新情報を伝えることで、旅行意欲を高めることに成功しました。
【関西支店】海外旅行の需要喚起イベント 国際空港でのセミナーイベント開催事例
旅行総合イベント出展の事例
兵庫県の「ひょうご観光本部」は、日本最大級の旅の総合イベントである「ツーリズムEXPO2024」に出展しました。「ツーリズムEXPO2024」には、1,384の企業と団体が参加して、4日間の来場者数は18万人超えと大盛況を収めたイベントです。兵庫県は、「ボン・ボヤージュ」を運営テーマに掲げて出展してクイズや抽選会などを通して地域の食や文化を発信しました。
【関西支店】世界最大級の旅の総合イベント出展サポート事例
広告出稿
広告を出稿して、不特定多数の人にアピールする方法もあります。広告の出稿先はインターネット広告・マス広告・SP広告・SNS広告と複数の種類があります。ターゲットや目的に従って、出稿先を選ぶことが成功のコツです。例えば、SNS広告でもどのSNSを選ぶかは重要です。若者層がターゲットであれば、Instagramや TikTokへの出稿が適します。
TVer広告出稿の事例
静岡県の伊豆半島西岸に位置する海辺の町である西伊豆町では、国内最大級のテレビ番組の見逃し無料配信動画サービスであるTverに広告を出稿しました。テレビ離れが加速していますが、Tverでテレビ番組を見る人が増えています。加えて、キー局でのテレビ広告に比べてリーズナブルに出稿できる点が特徴です。Tverは20〜40代が主であり、20〜40代をターゲットにする際に適します。
【三島支店】自治体の首都圏向け誘客デジタルプロモーション事例(TVer広告)事例
SNSの活用
SNSを活用して、観光地をアプローチする手法です。SNS内で完結する施策のため、予算はさほどかかりません。また、観光客自身による拡散も期待できる点が特徴です。国内でよく利用されるSNSとしては、YouTube・Instagram・X(旧Twitter)・Facebook・TikTokなど複数の媒体があります。目的やターゲットによって、最適な媒体を選択しましょう。
Instagramフォローで抽選会に参加できる施策の事例
東急ホテルズが展開するストリームホテルでは、Instagramでフォローした人を対象に抽選会を実施しました。 この施策は、「SHIBUYA STREAM HOTEL」のグランドオープンに合わせて実施された施策です。渋谷駅直結の複合施設「渋谷ストリーム」の屋外イベントスペースである「稲荷橋広場」を会場に、事前またはその場で公式Instagramをフォローした人にガチャガチャのコインを配布。宿泊券やランチ券などを景品にして、ホテルの利用をアピールしました。
【東京支店】新たなホテルブランドのPRイベント事例
インフルエンサーの活用
若い層への影響力が大きいプロモーションとして、インフルエンサーの活用がおすすめです。
インフルエンサーとは、SNSで影響力のある人のことを指します。YouTuberやTikTokerはインフルエンサーです。応援しているインフルエンサーがアピールした観光地は、魅力に感じます。ファンの多いインフルエンサーほど、高い効果が期待できます。
人気YouTuberによる海外リゾートホテルのプロモーション事例
人気リゾートホテルであるパシフィック・アイランド・クラブ・グアムは、人気ユーチューバー『okutsu family』に依頼しました。家族4人で3泊4日のグアム旅行を満喫する動画を制作し、ホテルの魅力とともにグアムの魅力をアピールしています。これによって、グアムへの旅行意欲を高めるとともに、ホテルの利用を促すことに成功しています。
【東京支店】人気YouTuberを起用した海外リゾートホテルのプロモーション事例
日本人の海外旅行離れは、金銭面での余裕がないだけではなく、旅先に魅力を感じられず旅行意欲がない人が増えていることも原因の一つです。目的やターゲットに合わせて、最適な方法でアプローチして旅行意欲を高めましょう。
エイエイピーでは、観光やインバウンドのプロモーションを企画から実行まで請け負っています。興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。